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遺産分割調停を経ないで遺産分割協議をし、遺産分割協議書が完成したとしても、その内容を守らない、つまり遺産分割協議書の記載内容が履行されないという場面が生じてくることがあります。このような場合、どのような対応をするべきなのでしょうか
まずは履行を促すように交渉をするということが考えられます。もっとも、履行を促しても応じてくれない場合もあるかと思います。ですが、履行をしてくれないことを理由として遺産分割協議を解除することは、最高裁の判例によれば認められていません。その理由は、①遺産分割協議は成立した段階で終了し、後は協議において債務を負担した相続人と債権を取得した相続人間の債権債務関係のみが残ることになる結果、当該債権債務の履行の問題として把握されること、②遺産分割協議の成立により、各遺産は相続開始時に遡って各相続人に帰属することになるから、やり直しをすることになると、法的安定性が損なわれるから、とされています。
そのため、遺産分割後の紛争調整として家事調停を申し立てることで解決を図ることになります。家事調停を申し立てることがベターな方法になります。
例えば、代償金を払ってくれない、不動産を明け渡してくれないという問題に対しては、遺産分割協議後の紛争調整としての家事調停を申し立てることにより、遺産分割協議内容の履行について裁判所を通じて相手方にはたらきかけることになります。
また、遺産分割協議後に親の面倒を見ると約束したのに面倒を見てくれないという場面も想定されます。その場合、親の方から扶養を求める家事調停を申し立てるということになります。もっとも、親が認知症などにより家事調停を申し立てることが困難な場合には、まずは成年後見の申立をすることで成年後見人の方から交渉や調停を申し立てることにより扶養に必要な費用を確保していくことになります。
Last Updated on 7月 28, 2023 by takajo-souzoku
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