「相続土地国庫帰属制度」が開始されました。

相続土地国庫帰属制度につきまして,全国の法務局の本局(静岡県の場合は静岡地方法務局)で相談対応が始められています。

既に全国では約5800件程度の相談があり申請は200件に達しているとのことです。(2023年6月上旬現在)

土地の所有者だけではなく,家族や親族の方でも相談が可能ということです。

しかし,この制度の適用の要件は厳しいものがあると思われます。

この制度は,相続,遺贈により取得した不要な土地を国に引き取ってもらうことにあります。

しかし,国が無条件で引き取ってくれるわけではありません。通常の管理又は,処分をする際に,過分の費用又は労力がかかる土地は引き取ってもらえません。

建物が存在する土地,境界がはっきりしない土地,土壌の汚染がある土地,崖地のような危険な土地,他人によって使用されている土地の引き取りは無理だと思われます。

又,生前贈与を受けた相続人,売買などによって自ら土地を取得した個人,法人は,相続や遺贈で土地を取得した相続人ではないため,この制度の適用対象とはなりません。

そして,申請をするについても費用がかかります。

申請費用は1筆の土地あたり1万4000円となっています。

従いまして,土地の筆数が多いとかなりの費用を要することになります。

さらに,法務局によって承認されたとしても,土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出された10年分の土地管理費用の負担金を納付しなければなりません。

負担金は1筆毎に20万円が基準となっています。

同じ地目の土地が隣接していれば,負担金の合算の申し出をすることができ,2筆以上でも負担金は20万円が基準となります。

なお,一部の市街地の宅地,農用地区域内の農地,森林などにつきましては面積に応じて負担金を算出するものもあります。

相続土地のことについて問題になる多くは,買い手のつかない,いわゆる「負動産」であるものと思います。このような土地はおそらく「相続土地国庫帰属制度」を利用しても,国が引き取ってくれないことが多いと思われます。

今,全国にはこのような土地を引き受けてくれると称し,悪徳商法まがいの業者も存在し,この制度が2023年4月から開始されたことを契機に暗躍しようとしていますのでご注意ください。

しかし,真面目に有償取引を営業目的としている会社もいますので,もし,国に引き取ってもらえない相続土地がある場合はこのような業者を選択するのも一方法ではあるかと思います。

相続土地の件でお悩みをかかえている方々は当事務所で相談にあたっていますのでお気軽にお電話ください。

Last Updated on 6月 27, 2023 by takajo-souzoku

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