この場合の相続税は具体的にいくらかかるか計算してみましょう。
1.遺産総額の計算
計算にあたっては、まず被相続人の遺産がいくらなのか計算する必要があります。
預貯金につきましては相続開始時の金額でいいのですが、その他の不動産等は相続開始時の評価額を出さなくてはいけません。
そして、これらの評価額から被相続人の債務や葬儀に要した費用を控除する必要があります。
こうして遺産総額が算出されることになります。
2.土地の評価
この場合、土地の評価については各地の税務署が定めている路線価(宅地の1㎡あたりの価格)を用い、これを土地の面積にかけて、土地の評価額を算出します。
土地に路線価がない場合、倍率方式を用いることになりますが、固定資産税評価額に一定の倍率をかけるというものです。
宅地の場合であれば、ほとんど路線価がありますのでご安心下さい。
3.建物の評価
建物の評価については、自分で使用している場合は固定資産税評価額がそのまま評価額になります。
但し、被相続人が賃貸していた建物につきましては、自宅とは評価額の算出方法が違いますので注意しましょう。
4.生命保険について
被相続人が生命保険に加入していた場合、相続人が生命保険金を受け取ることがあります。
遺産分割では生命保険金は遺産ではないと取り扱われますが、相続税の計算の上ではそのようになりません。
生命保険については保険料を負担した人が被相続人であるため、相続人が保険金を受け取る場合は相続財産とみなされ、相続税の対象となりますので注意が必要です。
但し、生命保険金として受け取ったすべてのお金が相続税の対象となるのではなく、相続人の人数に500万円をかけた額が生命保険金の額から控除されますので注意しましょう。
5.退職金
被相続人が会社に勤務しているような場合、勤務先の会社から退職金が支払われることがあります。
死亡退職金を相続人が受け取る場合、この退職金相当のお金は相続財産に加算されます。
この場合も生命保険金の場合と同じく500万円に相続人の数をかけたお金が退職金の中から控除されるので注意しましょう。
6.有価証券の評価
株式等の有価証券の評価についてはどうでしょうか。
株式市場に上場されている株式の評価は相続開始時の株価によります。
上場されていない株式の評価額の算出については、いくつかの算出方法がありますが、その会社の決算書類の作成等に関与していた税理士の意見を聞いて算出することがベターだと考えます。
7.相続人の特定
遺産の評価がなされましたら、上記に述べたとおり、被相続人の債務や葬儀に要した費用を控除し、これで遺産総額が決まります。
具体的な相続税額を算出するには相続人が何人であるか特定する必要があります。
これは基礎控除額がいくらかを特定するために必要です。
相続人1人につき600万円が遺産総額から控除されることになっています。
なお、相続人の中に被相続人の養子がいる場合には、相続人の数は原則として、被相続人に実子がいる場合には一人、被相続人に実子がいない場合には二人までですので注意が必要です。
相続人の内、相続放棄をした者がいる時でも、その放棄はなかったものとして計算してよいことになっています。
ここでは、被相続人の子供が三人ということで遺産総額が1億円として相続税額を計算することにします。
1億円-3000万円(定額控除)-1800万円(基礎控除3人分の
合計額)=5200万円
5200万円÷3≒1733万円
子供一人の額は1733万円となり、下記のとおり、3000万円以下の控除額は50万円であり、税率は15%になります。
(1733万円-50万円)×0.15=252万4500円
子供一人の税務署に納める相続税額は252万4500円になります。
- 平成27年1月1日以降の相続の税率等は下記のとおりです。
法定相続に応ずる各人の取得金額 | 税 率 | 控除額 |
1000万円以下
3000万円以下 5000万円以下 1億円以下 2億円以下 3億円以下 6億円以下 6億円超 |
10%
15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% |
な し
50万円 200万円 700万円 1700万円 2700万円 4200万円 7200万円 |
相続権争いが起こった場合
遺産総額が多額な場合、相続人間で争いが発生することは多々あります。
相続人同士で話しあいを進めていると、ちょっとしたことが感情のもつれになり、遺産分割協議がスムーズにいかないことを当事務所は見聞しています。
このように遺産総額が1億円を超えるような場合には普通以上にトラブルになることが多いです。
その場合、初めから弁護士に依頼し、冷静に話しあいをして解決することがベターだと考えます。
当事務所は、長年、遺産分割事件を多数取り扱い事務所内には過去の解決事例も沢山存在し、所属する弁護士も多くの経験を有しています。
遺産分割問題でお悩みの方、他の相続人に対して自分から遺産分割の申し出を躊躇されている方は当事務所にご連絡下されば、弁護士が丁寧に対応します。
ご連絡をお待ちしています。